INTI report
【Q&A 円形脱毛症】円形脱毛症診療ガイドライン〜ガイドライン概要紹介〜
こんにちは!
INTIです。
近年、疾患管理において
診療科ごとに各医学会が診療ガイドラインを制作し
ガイドラインを参考にした診療の実施が望まれています。
日本皮膚科学会は2010年に初めて円形脱毛症ガイドラインを作成し
改訂第2版として2017年12月に【日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017版】が発表されました。
今回は
私が資格を取得、所属している
日本毛髪科学協会が正しい知識普及のため各、毛髪診断士、毛髪診断認定講師、指導講師へ
日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン作成委員メンバーの著者より紹介された
【円形脱毛症診療ガイドライン2017年版について】の記事です。
是非、ご参考にされて下さい。
● 円形脱毛症診療ガイドライン2017年版とは ●
「円形脱毛症」という病名は一般的に広く知られていますが、
病因が確立していないことから
正しい知識が普及しておらず
インターネット等では、エビデンス(医学的データ)に乏しい情報が氾濫し
誤った情報に難治性で治療効果が現れにくい方々が惑わされていた中で
2010年に日本皮膚科学会が策定した
「円形脱毛症ガイドライン」により
長年にわたり実施されてきた治療を含めて、科学的根拠に基づいた標準的治療が初めて提示され
患者、医師双方にとって納得した診療を受けることができる様になりました。
その後、新しい治療法の出現や海外のガイドラインの修正も反映させて、ガイドラインの改訂が行われ
「日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン2017年版」として
日本皮膚科学会から2017年12月に発表されました。
改訂作業は日本皮膚科学会と毛髪研究所(SHSR)の共同作業としてSHSRの会員が主体(日本皮膚科学会男性脱毛症診療ガイドライン2010年版同様)となり
2010年版で選定されたclinical question(CQ)取捨選択、追加を討議した後
それぞれのCQに関する論文を収集して構造化抄録を作成し、推奨度、推奨分が作成れました。
エビレンスの収集においては、
高い水準の根拠が発表されていない場合には、非ランダム化比較試験や症例集積研究も参考とし、基礎研究や動物実験の文献は発表されておりません。
主にランダム化比較試験のシステマティックレビュー(RCT)や、個々のRCTの論文を優先し、※1 エビデンスレベルの分類 を表にし現されています。
※1 エビデンスレベルの分類
Ⅰ . システマテック・レビュー/メタアナリシス Ⅱ . 1つ以上のランダム化比較試験 Ⅲ. 非ランダム化比較試験 Ⅳ. 分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究) Ⅴ . 記述研究(症例報告や症例集積研究) Ⅵ. 専門委員会や専門家の個人の意見 |
円形脱毛症は見た目で診断する事も多いですが
中には他の疾患との区別がつきにくい症例もあるため、
円形脱毛症ガイドライン2017年版内、 「円形脱毛症の病態と診断 」では
脱毛症は加齢変化や男性ホルモンによる男性型脱毛症、他の皮膚疾患による脱毛や、膠原病などの様々な内臓疾患に随伴する脱毛、
薬剤性脱毛などの医原性脱毛症などあるので、円形脱毛症をあ正しく理解して診断するために
疾患概念、病因論や診断方法について述べられており
診断については病型を理解しダーモスコピー(皮膚腫瘍を見るために開発された医療用の拡大鏡。脱毛症状に対してのダースモールコピー観察は脱毛症状専門外来以外ではあまり行われない事が多い。)よる詳細な毛髪の診断、
牽引試験(Hair pull test)、爪にも変化を見る事がある為、爪の変形の観察や問診の重要性を開設しています。
病因、病態については、毛包組織に対する自己免疫疾患説を支持する論文を紹介し
円形脱毛症を発病しやすい遺伝子を背景に、疲労や感染症などの肉体的、精神的ストレスが発病の誘因となるとされていますが、
明らかな誘因がないことが多いと示されました。
一般的に広く言われ、円形脱毛症に対する偏見の原因の1つである精神的ストレスと円形脱毛症の発病に関しては
項目を設けて述べられており、円形脱毛症と精神的ストレスとの直接の関連性についての科学的根拠は乏しく、
安易に円形脱毛症とストレスの関与を唱えるべきではないとしています。
尚、ストレスホルモンと毛包組織の関係についての研究が実施されている事も紹介されています。
● 円形脱毛症の治療について ●
改訂版(2017年版)では本邦における円形脱毛症治療について※3 CQを29項目 挙げ、※2 推奨度を検討しています。
※2推奨度の分類
A, 行うよう強く勧める
(少なくとも1つの有効性を示すレベルIもしくは良質のレベルⅡのエビデンスがある事) B, 行うよう勧める (少なくとも1つ以上の有効性を示す質の劣るレベルIIか良質のレベルⅢ、あるいは非常に良質のⅣのエビデンスがあること)
C1, 行っても良い (質の劣るⅢ~Ⅳ、良質な複数のⅤ、あるいは委員会が認めるⅥのエビデンスがあること)
C2, 行わない方がよい (有効なエビデンスがない、あるいは無効であるエビデンスがある)
D, 行なうべきではない
(無効あるいは有害であることを示す良質のエビデンスがある) |
2010年版で作成されたアルゴリズムは今回、作成されませんでしたが、実際の治療方法については、CQの各項目で詳細に解説されています。
また、「D.行うべきではない」とされた項目は無くなり、
最も推奨度の高い「A,行うよう強く勧める」はありませんでした。
【 推奨度B. 行なうよう勧める 】は4項目あり、
CQ1.「ステロイド局所注射療法」、CQ2.「局所免疫療法」、CQ3.「ステロイド外用療法」に
新くCQ28.「かつらの使用は有用か」が設けられました。
かつらは円形脱毛症を治すものではありませんが円形脱毛症患者のQOL(生活の質)の向上に役立ち、
生活に必要な方も多いことから、推奨度Bとなりました。
【 推奨度C1.行ってもよい 】は11項目挙げられています。
一般的な治療としては、医師の経験、患者の症状や背景を鑑み
推奨度BあるいはC1を単独あるいは組み合わせて実施する事が望ましいと読み取れます。
CQ29.「治療せず経過観察を行うのは有効か」が設けられ、患者に対し心理的配慮を行いつつ「治療をしない」「治療を休む」という選択肢を
患者に提示しても良いとされ、推奨度C1となっています。
これは、治療を諦めるのではなく、積極的に治療しない事を患者さんが選び、それを否定せず
長期間治療、広範囲脱毛症などにおいて考慮し、病気を受け入れて共生していく心理的な援助となると考えたものです。
【 推奨度C2.行わない方が良い】は15項目あり、
中には、前回の2010年版、推奨度Dから見直された項目もありますが
根拠に乏しい治療が多数実施されている事を示していると考えられます。
上記29項目のCQの詳細は、『皮膚科学会、円形脱毛症診療ガイドライン2017年版』にCQ一覧と推奨度として表に分かりやすく
表されており、誰でもインターネットで文献を読む事が出来ます。
精読される事を強くおすすめ致します。
今回のガイドラインは第2版であり、
ガイドラインは新しい知見を取り込んで今後とも定期的に改訂していく予定であると書かれています。
高い評価が得られるよう円形脱毛症の研究は急速に進んでおり
病態は徐々に解明されつつもまだまだ既存の治療法による対応を迫られています。
急性期なのか慢性期なのかを適切に判断し、必要であれば皮膚組織を採取して毛包の状態を確認し、より良い治療選択をすべきとしていますが
中々そこまで踏み込んだ検査や治療をしてくれるクリニックや病院は少ないようです。
安全性が高く効果のある治療法の1つである局所免疫療法を行っている医療機関も、まだまだ少ないのが現状です。
社会における脱毛症に対する理解が進んでいないという面もあります。
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サポートさせて頂いております。
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